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病院には1日だけ入院したけど、退院の時に迎えに来たのは父でも母でもなく、結婚して間もないまだ若い叔母だった。
母の年の離れた妹で、私たちはその優しい口調が大好きだったけれど、遠くの町に嫁いでからは疎遠になっていた。
退院準備をして病室で待っていた私と兄を見ると、叔母は無言で涙を流して、私たちに抱きつくようにギュッと力を入れて抱き寄せてくれた。
叔母の髪から甘い花のような香りがして、その柔らかな感触が安心出来て心地よく、母を思い出させて懐かしく、恋しく、そしてとてつもなく哀しく……。
気がつけば、声をあげて泣いていた。
私の横で、兄も泣きじゃくっていた。
「もう大丈夫よ。今日から一緒に暮らしましょうね」
叔母の優しい声が私と兄の心を救った。
叔母の家に着くと、すぐにお風呂を入れてくれた。
1泊だけしかしなかった病院では、身体を拭かれただけで入浴はしていなかった。
叔母が私の髪を濡らしてシャンプーをつけるけれど、ゴワゴワの髪は絡まるばかりで、なかなか泡が立たない。
叔母が笑顔で「もう綺麗になるからね」と何度も私に言い聞かせるように伝えると、そのうち白い泡がムクムクと髪を覆っていった。
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