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 思わず少し引いたけれど、その可愛らしい声を聞いて分かった。  この子は……髪は短くてボサボサだし、汚い服装で分からなかったけど……女の子なんだ……。  それが分かると、胸が詰まって涙が出そうになった。  性別も分からないくらいボロボロで汚くなってしまった女の子……。 「分かった。可愛いパンツなら、新品のが家にもあるから。洗ってあげるからお風呂場に行きましょう」 「千紘も入る!」  嬉しそうに千紘がそう言うと、部屋に自分の着替えを取りに走って行った。  千紘が来る前に、私はエプロンをしてジーンズを膝上まで捲ると女の子の身体を熱めのシャワーで流した。  ボディソープを泡立てたスポンジで身体をこすると、こびりついていた黒い垢が剥がれていく。   「いい匂い」  女の子がはじめて微笑んだ。 「頭は自分で洗う?」  私が聞くと、女の子が小さく頷いた。  だけど、あの頃の私のように、ずっと洗っていないゴワゴワの髪はなかなか泡立たず、女の子は哀しそうにシャンプーを付けながら頭をこすっていた。 「大丈夫、すぐに泡立つからね」  叔母がそうしたように、私も一緒に何度も何度もお湯を髪にかけながらシャンプーをつけ足していくうちに、白い泡が髪を覆っていった。
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