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その表情を見て、胸が痛んだ。
私は病院に引き取りに来てくれた叔母に救われた。
だけど、この子は私に今拒否をされたと感じただろう……。
勿論、見ず知らずの子を引き取るなんて、そんなことはとても考えられないけれど、今傷つけてしまったのは事実だろう。
それでも、期待させるようなことは言えない。
「あのね、親と離れて暮らしている子どもたちは世の中に沢山いるの。児童養護施設で暮らす子たちもいるし、里親さんの家庭で暮らす子もいる。だから、そういう所へ行く方法があるの。それに、春花ちゃんの親戚の家で暮らせるかもしれないしね」
「……そうなの。家に帰らなくていいなら、なんでもいい」
春花はそう言って、また寂しそうに微笑んだ。
「ママ、どうして家で一緒に暮らせないの? 千紘、春花ちゃんと一緒に暮らしたい! お部屋も二段ベッドにして、千紘と一緒のお部屋で良いじゃない」
甘えるように千紘が私の腕にしがみついたけれど、私は首を横に振った。
「そんな簡単じゃないのよ」
だって、今回千紘についてきたのは、犬でも猫でも無くて人間の女の子なんだから……。
私は児童相談所の電話番号を調べて電話をした。
春花は嫌がっているけれど、必然的に警察にも連絡がいって、そのうち身元が分かるだろう。
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