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朝、目が覚めると母がいないことに気が付いた。
父が珍しく早起きしていて、母を探していたのだろうか……?
だけど、私たちには何も言わずに、兄に私を保育園へ送るように言った。
兄も私も「お母さんは?」って聞きたかったけど、聞くことは出来ず。
父は何も言わなかった。
そして、それから数日のうちに電気がつかなくなり、火やお湯も使えなくなり、お水も出なくなった……。
「母さんは知っていたんだ」
忌々しそうに父が言ったのを覚えている。
そして兄は私を保育園へ送らなくなり、学校へも行かなくなった。
理由を聞くと「きっとお父さんがお母さんを殺したんだ」と繰り返していた。
多分、父が母を探す様子もなく、母について何も言わずにただお酒を飲む生活をしていたからだろう。
兄にそう言われると、私もそんな気がしてしまい、父と話が出来なくなった。
そのうち冷蔵庫にも戸棚の中にも食べるものがなくなって、空腹が私たちを襲った。
それでも父は出かけることもせず、ただ家の中でお酒を飲んでいた。
もう私を膝に座らせることもなく……。
そして、ある朝起きたら父も家の中から消えていた。
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