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   *** *** 「最後にご飯を食べたのは、いつ? 何を食べた?」  私は冷蔵庫の中からペットボトルのスポーツドリンクを出しながら、リビングのドアの前で所在なげに立っている男の子に聞いた。 「……昨日の……昼。パン1つだけ……」  思ったよりも、可愛らしい高い声が返って来た。 「家で食べたの?」  グラスに入れたスポーツドリンクをダイニングテーブルの上に置いて手招きをすると、男の子は小さく頷いたけれど、その場を動かずに立ち尽くしていた。  標準身長の千紘より少し背の高い男の子は、就学前の子どもとは思えなかった。    何日も学校へ行っていないということは予想できた。  昨日も平日で給食を食べに行けたのに、もうそんな段階じゃないくらい汚くなってしまって、とても登校できなくなっているのだろう。  兄もそうだったから。  兄が学校へ行かなくなったのは、同級生に変な目で見られたくなかったからだ……。 「ママ、先にお風呂に入れてあげたら?」  千紘がダイニングの椅子に座って、スポーツドリンクを飲みに来ない男の子を心配そうに振り返った。 「あの子がこれを飲んで、今からチャチャっと作っちゃう雑炊を食べてからね。じゃ、千紘がお風呂の準備してきて」
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