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「はーい」
と元気に席を立って、千紘はお風呂場へ走って行った。
相変わらずドアの近くに立ち尽くしている男の子には「お雑炊作るね」とだけ声を掛けて、私はキッチンの中に入った。
丸一日物を食べていないとなると、丁度とっても空腹で喉もカラカラで辛いはずだ……。
だけど、知らない家で遠慮しているのかもしれない。
*** ***
私のお腹が鳴っていた時は、兄が心配そうに「腹減ったな。何か探してみよう」と言って、もう食べるものは無くなった冷蔵庫からケチャップやマーガリンを出して一緒に食べた。
そういう物も無くなると、はじめは鳴っていたお腹の虫も静まって、空腹さえ感じなくなっていき、ただ力が入らなくなっていった。
まるで頭の中が空っぽになるような激しい目眩に襲われながら、喉だけがカラカラだった。
だけど、水道の水は既に出なくなっていたし……脱水症状で吐き気に襲われるけれど、何も吐き出すものさえなく。
私たちは家から一歩も外へ出なかったから、誰にも気が付かれることも無かった。
ただ、自分たちの身体から悪臭を感じて気持ち悪さが増し、埃が溜まったキッチンの床の上で兄と寝転びながら、頭を上げることも出来ないくらい力が入らなくなっていった。
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