第1章 夫婦のルール

302/319
前へ
/1080ページ
次へ
身体がばらばらになりそうな苦しみ。 こだわりもプライドも捨てて、本能のままに毎晩未散を抱いていれば、何か違っただろうか。 毎日愛の言葉をささやいていれば、他の男に「たりないもの」を満たしてもらおうと思わせずに済んだだろうか。 熱い湯に身体を打たせていると、待っていたかのように涙が湧き上がり、湯と一緒に流れていった。 風呂から上がると、俺は自室のPCを起動した。 やっぱり俺はシステム屋なので、最終的には文明の利器の力も借りようと思った。 ブラウザを立ち上げ、「妻 恋愛体質 本気」「結婚 パートナー 浮気 本気」など、思いつくままにキーワードを打ちこんで検索をかけてゆく。 長い夜が更けていった。 隣りに未散がいない夜は、あのGW以来だった。 検索を続けるうちに、今の俺と似た状況で苦しむ男性のブログがヒットした。 これだ! と(わら)にもすがる思いで、俺はその文章を読みこむ。 そこから派生してweb上を夢中でさまよい続け、俺は実に様々な価値観や考え方に触れることができた。 そして、ひとつの結論を得た。 未散に伝えたいことを言い漏らさないように、俺は自分の思いを必死で手帳に書きつけた。
/1080ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5383人が本棚に入れています
本棚に追加