第1章 夫婦のルール

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「あっ……ああっ」 避妊具を使わずに深町さんとするのは、初めてだった。 紘央とだって、一回しかない。 感覚が……(なま)だった。 湯しぶきを立てて、深町さんはわたしを突き上げる。 その鼻筋に細かい汗の粒が浮かんでいて、わたしはそれすら愛しく思う。 さっきあんなに激しく本能のままに抱かれたばかりなのに、わたしの身体はまた全力で深町さんを受け入れる。 好き。 好き。 好き――。 「未散」 ああ、その声も愛してる。 わたしの中でまた快楽がせり上がり、大きな渦になってはじける。 紘央のことを考えないように、わたしは行為に没頭した。 おそろいのガウンでベッドに横たわり、1ミリの隙間もなく抱きあった。 身体の奥にまだ、熱い余韻が残っている。 紘央からは、連絡はない。 もう、本当に終わりなのかもしれない。 「ごめんね」 ぼそりと深町さんが言った。 「え?」 「……いや、逃げ場のない場所で、生でしちゃって」 「ああ」 わたしは小さく笑った。 「それに……さっき激しくしすぎちゃったかもって思ったから、次はやさしくするつもりだったのに」 照れながらそんなことを言われて、また身体の奥がじんと反応してしまう。
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