5385人が本棚に入れています
本棚に追加
たしかに、どれだけ待たせてしまったんだろう。
わたしが紘央の浮気やセックスレスに悩んでいる間に、このひとはどれだけ孤独にわたしを想ってくれたんだろう。
「しかし危なかったよ、きみが結婚しちゃう前に逢えてほんとによかった」
紘央との直近の状況や、いろいろあってまた無職になってしまった事情については、夕食のときにざっくりと伝えてあった。
「でも……あのね、占いができるひとに言われたんです。わたし、恋多き人生を送るんだって」
無駄な抵抗と知りながら、至のことを少しぼかして話してみた。
「恋多き……?」
「うん」
「させない」
深町さんはまたわたしを引き寄せて、がっしりと抱きしめた。
「他の恋なんてさせない。そんなの信じなくていいんだよ。目の前だけ見ていればいいの」
そのまま彼はわたしの上に重なり、ガウンの胸の合わせ目から手を差し入れてきた。
彼の言葉はまっすぐな愛に裏打ちされていて、だからこそ胸が痛んだ。
ぱらりとガウンをほどかれ、ブラジャーのフロントホックをぷちりと外され、またしてもわたしの身も心もとろかす愛撫が始まった。
身体中にキスの嵐を受けながら、わたしはサイドテーブルの上にあるスマートフォンが震えるのを待ち続けていた。
最初のコメントを投稿しよう!