第1章 夫婦のルール

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たしかに、どれだけ待たせてしまったんだろう。 わたしが紘央の浮気やセックスレスに悩んでいる間に、このひとはどれだけ孤独にわたしを想ってくれたんだろう。 「しかし危なかったよ、きみが結婚しちゃう前に逢えてほんとによかった」 紘央との直近の状況や、いろいろあってまた無職になってしまった事情については、夕食のときにざっくりと伝えてあった。 「でも……あのね、占いができるひとに言われたんです。わたし、恋多き人生を送るんだって」 無駄な抵抗と知りながら、至のことを少しぼかして話してみた。 「恋多き……?」 「うん」 「させない」 深町さんはまたわたしを引き寄せて、がっしりと抱きしめた。 「他の恋なんてさせない。そんなの信じなくていいんだよ。目の前だけ見ていればいいの」 そのまま彼はわたしの上に重なり、ガウンの胸の合わせ目から手を差し入れてきた。 彼の言葉はまっすぐな愛に裏打ちされていて、だからこそ胸が痛んだ。 ぱらりとガウンをほどかれ、ブラジャーのフロントホックをぷちりと外され、またしてもわたしの身も心もとろかす愛撫が始まった。 身体中にキスの嵐を受けながら、わたしはサイドテーブルの上にあるスマートフォンが震えるのを待ち続けていた。
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