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紘央から電話が来たのは、午前5時過ぎだった。
前夜、深町さんに「きみとつながったまま眠りたい」と言われ、本当に挿入したまま眠りに落ちてしまった。もちろん、眠っている間にいつのまにか身体は離れてしまっていたけれど。
飛び起きたわたしは、スマートフォンをつかみとって画面を確認し、そっとベッドの端に移動して腰かけた。
おそろいのガウンですやすや眠る愛しいひとの寝息を確認しながら。
「……おはよう」
「おお」
自分からかけてきたくせに、紘央は驚いた声を出した。
「ほんとに出てくれると思わなかった。寝てるかと思った」
「寝てたけど、飛び起きたの。……ずっと、電話待ってたから」
素直に胸の内を吐露した。スマホをあてた耳から、紘央の声が心地よく流れこんでくる。
「……そっか。遅くなってごめんな」
「紘央は、ちゃんと寝たの?」
「2時くらいから少し寝た」
「あんまり寝てないじゃん」
「寝れるかよ、こんなときに」
「……ごめんね」
深町さんが起きないように声を抑えながら、それでもわたしは心から言った。
「ごめんね、紘央」
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