第4章 土星のルール

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「いいの? 週末休まなくても」 未散の好きそうな砂肝の串焼きに歯を立てながら確認する。こりり、といい音がする。 「土曜は寝倒したいけど、日曜なら平気」 「おお、よかった。じゃあさ、茉利(まり)さんと未散と4人でどう?」 さすがに去年と同じメンバーというわけにはいかない。 ロースクールを卒業して弁護士としての道を歩みだした尚澄は挙式を控えて忙殺されているし、美青は――美青に会うのはいろいろとまずい。 「あ―……それはちょっと……無理かも」 翔はうつむいた。空豆の皮をもてあそぶように剥いている。 「そっか、悪い。茉利さんだって出版社勤務だし忙しいよな」 「や、そうじゃなくて」 「えっ、なに」 翔は歯切れが悪い。嫌な予感がした。 「……別れるかも」 空豆をぼそぼそと口に運びながら翔は言った。 その声は、近くの酔っ払いのおっさんたちの声にかき消されそうになりながらも俺の耳に届いた。 「え、なんで」 赤坂茉利の快活な笑顔が目に浮かんだ。 言葉が出なかった。
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