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第2章 恋人のルール
結婚3周年を祝して、未散とふたりでバリ島へ旅行した。
子どもがいないこともあって国内旅行はまめに行く方だが、海外へも結婚記念日に絡めて毎年行っている。
今年は俺の仕事の都合で記念日よりかなり遅れ、3月半ばになってしまった。
俺のボーナスと未散の語学力で、何の憂いもない蜜のような時間を過ごすことのできた5泊6日。
色とりどりの魚たちとのシュノーケリングや現地のグルメを堪能し、アジアンな雰囲気たっぷりの宿で未散と濃厚なセックスをした。
最高of最高、というやつだった。
この後、またそれぞれの恋人たちと過ごすことになるのがなんだか信じられない。
そんな思いで、俺は成田行きの飛行機の窓から嘘みたいに青い海を見下ろした。
行きは窓側の席に座った未散は今、通路側の席で毛布をかぶり、どこかうっとりしたような寝顔で眠っている。
その左手薬指に光る指輪が外されないかぎり、俺たちは大丈夫だ。そう思った。
たとえ、この関係が誰からも理解されないものであっても。
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