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第4章 土星のルール
クリスマスも年末年始も、紘央とふたりきりで過ごした。
うまくいけば妊婦でも子連れでもない最後のイブや年越しになるので、大切に過ごしたかった。
恋人のいることが家族にばれたのか否かはっきり確かめるのが怖くて、帰省できなかったためもあるけれど。
クリスマスはシティーホテルでクリスマスプランを使って過ごし、年末年始は九州で食べ歩きや陶器の窯元巡りを楽しんだ。
大分県にも立ち寄り、とり天や別府冷麺、佐世保バーガーを堪能した。
湯川くんとの湯布院の旅をいやでも思いだして胸が痛くなったけれど、涙はこみ上げてこなかった。
至にも「見て」もらい、「光がだいぶ弱くなった」と言われたので、きっとわたしはもう大丈夫なのだろう。
これから5月の誕生日までに、もっとたくさんの別れが待っている。
深町さんと。
至と。
寺林さんと。
立ち止まっている場合じゃない――。
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