悪い噂。

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 すると課長は、席を立つと私を抱き締めてくれた。 優しくて温かいぬくもりが伝わってきた。  もう、涙が止まらなかった。 今まで我慢してきた事が解放されたような切ない気持ちになった。 「お前は、我慢し過ぎだ。泣きたい時には泣けばいい 今は、俺しか居ないから甘えろ」 「……っ!!」  課長は、泣き止むまでずっと抱き締めてくれた。 言葉は、無くても気持ちが伝わる。  たくさん泣いたせいか気分が大分楽になった。 「もう……大丈夫です。ありがとうございます」 「そうか?それなら良かった。鍋冷めてしまったな。 温め直すからちょっと…待っていろ」 「あの……課長……」 「何だ?」 「今日……泊まってってもいいですか?」  残りの鍋をキッチンに持って行こうとする課長に 私は、そう言って呼び止めた。大胆な発言だと思う。  だけど今日は、一緒に居たいと思った。 課長は、驚いてこちらを見てきた。 「……お泊まりセットも持ってきました。ダメですか……?」 不安そうに尋ねる。課長は、少し恥ずかしそうになりながらも 「なら……泊まって行くか……?」と言ってくれた。 私は、嬉しそうに微笑んだ。  そしてその夜は、課長の自宅に泊まった。 嫌な事を忘れるぐらいの幸せなひとときだった。  翌朝。目を覚ますとやっぱり課長の姿はなかった。 また、ランニングに行っちゃったんだ…?  相変わらず体力が凄いと思う。 私は、脱ぎ散らかした服を着ると浴室に向かった。 シャワーを浴びるために  うぅ……身体がダルい。 だけど、昨日の辛さより全然マシ。何より嬉しい。  幸せを実感出来るから……。 そしてシャワーから出ると朝食の準備をした。
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