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プロローグ。
私は、広告代理店で勤めて6年目になる。
いつか大きなイベントや会社の広告を自らの手で
作りたくてこの会社に就職した。
バリバリの働くキャリアウーマンなんて言えないし
失敗も多いが、必死に頑張ってきた。
そんな私に苦手な人が居る。それは、この人だ。
「おい。何でお前は、いつも書類の書き方を
間違えるんだ?これで何度目だ?」
「申し訳ありません」
必死で謝る男性社員。うわぁ…今日も怖い……。
私は、思わずビクついた。
その人物は、『鬼課長』なんて言われている櫻井課長だった。
「ねぇ、相変わらず怖いわよねぇ~鬼課長」
「……う、うん。そうだね」
同期で友人の玉田美奈子に言われ思わず頷いてしまった。
真面目で異常に厳しく見た目も怖いため
周りにそう呼ばれて恐れられていた。
私も恐れている1人だけど……。
直接こっぴどく叱られた事はないが
私も仕事で何度か注意を受けたことならなる。
それでもかなり怖かった……。
「聞く話だと課長って独身らしいわよ?
あれじゃあ、結婚なんて出来ないわよねぇー」
美奈子は、クスッと笑いながらそう言ってきた。
櫻井課長って…独身だったんだ?
へぇ~そうなんだ?
でも失礼ながら納得してしまった。
だって、あまりプライベートとか想像が出来ないし
彼女とか奥さんの想像も出来なかったからだ。
だが、運命とは…何とも皮肉なもの。
まさか、この櫻井課長とお見合いをするなんて
夢にも思わなかった。それは、数日後の事だった。
母が突然自宅のアパートに来てお見合い話を
持ち出してきたのだ。
「はぁっ?お見合い…私が!?」
「そう。習い事で知り合った人の息子さんなんだけど
相手が独身らしくてね。
いい方らしいから引き受けてきたの」
そんな勝手に引き受けないでよ!?
いくら私が仕事、仕事で恋愛を疎かにしているからって
勝手に相談もなく決めないでほしい。
そうじゃなくても最近忙しいのに……。
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