どこまでも、哀れな女。

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 「…でもまぁ、研修医になら聞かれてもいいかなと思って喋り続けてたんだけどね」  鼻を啜りながら必死に涙を引っ込めようとしている木南先生。  そんな木南先生にハンカチを差し出すのは違うと思い、ポケットに突っ込みかけた手を止めた。  「なんでオレならいいと思ったんですか?」  「どうせもうすぐ脳外ローテ終わるじゃん。だから、どう思わようがどうでもいい」 オレが脳外を希望している事を知らない木南先生は、このローテ以降はオレと関わる気はないらしい。  木南先生の、オレを切り離した様な言い方に、若干の寂しさを感じた。  「同じ科じゃなくても、連携する事だってあるんだから顔合わせる機会だってあるでしょうよ」  『希望医局を絶対に言わない』と言ってしまった為、脳外希望を伏せたまま、『オレは木南先生と仕事する気満々ですよ』の意を込めて言い返すと、  「立派な医者になれよ」  木南先生は話の流れを無視した返事をして笑った。
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