命の価値。

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 脳外ローテ初日で行ったオペから数日が経つと、容体が安定した川原さんは外科病棟に移った。  脳が腫れていた藤岡さんは、脳の状態が落ち着くのを待ち、冷凍保存していた頭蓋骨の一部を元に戻すオペを行ってから、脳外の病棟へ。  手術の一部始終を見届けた藤岡さんの担当医は、  「研修医、お願いね」  と言う木南先生の指令の元、オレが受け持つ事になった。  藤岡さんのオペは成功だった。  成功だったけれど、藤岡さんは全身に麻痺が出た為に歩行困難になり、左目の視力が極端に落ちた。  21歳の女性には受け入れ難い現実。  今日もナースコールが鳴る。藤岡さんの病室からだ。藤岡さんのお母さんによるSOS。  「…藤岡さんかぁ」  桃井さんが渋い顔をしながら、先日暴れた藤岡さんを取り押さえようとして痛めた左肘を擦った。  「私も行きます」  桃井さんをひとりで藤岡さんの病室に行かせるのが心配なのもあるが、担当医としてこの状態をどうにかしなければならないと、桃井さんと一緒に藤岡さんの病室へ向かった。
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