命の価値。

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 藤岡さんの病室のドアを開けると、  「やめなさい!! 落ち着いて!!」  藤岡さんのお母さんが、懸命に藤岡さんを押さえつけようとしていた。  震える全身で、お母さんを振り払おうとしている藤岡さん。  そこに桃井さんが加勢し、藤岡さんのお母さんと一緒に藤岡さんをベッドに寝かせようとした。  そんな桃井さんの頬に、暴れ続ける藤岡さんの手が当たり、『パシン』という乾いた音が鳴った。  「痛…」  「大丈夫ですか!? 桃井さんは少し離れていてください」  頬に手を当て擦る桃井さんを藤岡さんから引き剥がすと、  「…何してんの?」  低い声を出し、急に動きを止めた藤岡さんがオレを睨みつけた。  「…え?」  藤岡さんの質問の意図が分からなかった。だって、オレはまだ何もしていない。
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