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早瀬先生は、この患者さんを特別扱いしたかったわけではないと思うが、色々思うところがあったのだろうなと、早瀬先生の心情を察していると、オレの隣にいたはずの桃井さんが、拳を握りしめながら一直線に木南先生の方へ歩き出した。
「木南先生、あんな言い方はないと思います」
そして、話し中の木南先生と看護師長との間に割って入る桃井さん。
「余計な私情が入っていようがいまいが、患者を助けたいという気持ちは大切な事だと思います」
桃井さんは看護師長の『ちょっとやめなさい』という注意を無視し、木南先生に意見した。
木南先生は、桃井さんを制止しようとしている看護師長に『別に構いませんよ』と言うと、
「そうね。ただ、あの患者さんにオペをするのは殺人行為よ。命を救いたくて殺そうとするなんて、支離滅裂。本末転倒もいいところよ」
桃井さんの発言を肯定しているように見せかけて、全否定した。
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