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「だから、なんでそんな言い方…。みんながみんな木南先生みたいな冷たい人間じゃないんですよ!! 医者だって人間でしょう? 感情が入って当然じゃないですか!!」
それでも桃井さんは反論をやめない。必死に早瀬先生を擁護しようとする桃井さんの姿を見ていると、本当に早瀬先生の事が好きなんだなと、自分の事など目に入っていない事をまざまざと思い知らされる。
「そうね。感情を入れるなとは言わないわ。でも、感情を優先するのは間違っていると思うけど。現に彼は判断を誤りかけた。私は、人の命を扱う以上感情論で動くのは危険だと思う。冷静さを欠いた医者に、誰が命を預けたいと思うの?」
「……」
桃井さんは、木南先生の正論にねじ伏せられ、返す言葉を失うと、
「111号室の高田さんのバイタルとってきます」
と、キャスター付きのモニタを転がしながらナースステーションを出て行った。
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