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「ジェイが不憫ですよ。ところでその……山崎さんという方はどういった方なのですか?」
私の知る山崎葵は口が悪く、俺様で、男としては最低な人間だ。だが、職場ではどうだったのだろう? 純粋に興味があった。
「仕事が出来て、優しくて、イケメン」
「ええと、待ってください。仕事が出来たのはわかります。……優しい?」
自慢ではないがあの男に優しくされた記憶がどうしても見当たらない。
「優しかったですよ。ただスケコマシではありましたけど。そこがまた私には好都合だったんですけどね」
「加藤さんは手を出されなかったんですか?」
「あの人来るものは拒まないってスタンスなんですよ。だから私から誘ったら手は出してきたと思います。でもなんかそれって私のプライドが許さないっていうか。あっちから来て欲しいじゃないですか。だから必死に親睦を深めてきたのに、横から獲物を掻っ攫われた気分ですよ」
今度は加藤さんがコップの水を飲み干した。
「それより最近七瀬さんと仲良くないですか?」
「え!?」
「七瀬さんもなんだか市川さんを特別扱いしてる気がするし……今日もお昼一緒にいたんですよね」
「お、お互いのデスクでお弁当を食べていただけですよ」
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