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「なーんか怪しいんですよねー。市川さん雰囲気もなんだか変わって来てるし。本当は七瀬さんのこと好きなんじゃないんですか?」
好きです。
七瀬さんを振り向かせようと虎視眈々と狙っています。
けれど、そんなことを言おうものならこの少し芽生えた良好な関係が一気に崩れてしまうのは必至。
「好きですよ。但し、上司として尊敬しているという意味で」
「まあクソ真面目な市川さんが奥さんいる人を好きになるなんてないか。はあ……由美さんと別れないのなら私も諦めるしかないかなあ。面倒くさいのは御免なので」
その前にあなた、彼氏いますから。
運ばれて来たパンケーキは驚くほどにふわふわで、甘かった。
そういえば山崎さんは甘いものは好きなのだろうか。今度の休みの朝食に作ってみよう、そう思うのだった。
「へえ、愛花とね。おまえとは合わないタイプだと思ってたけどな」
帰宅して今日の出来事を報告すると山崎さんはそれは驚いたようだ。
「私もそう思ってました。ですが、彼女とは思っていたよりも良好な関係を築けそうです。しかし解せないのはあなたのことを優しいと言っていたことですかね」
「何言ってんだ。俺ほど優しい男なんてなかなかいないぞ」
「どこがですか。大体本当に優しい人は自分で言ったりしませんから」
「そーかよ」
「そうです」
「ところで七瀬さんの方はどうだ?」と本題に触れられたので「お弁当は気に入ってくれたようです」と答えた。
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