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これで不味いと言われたら困る。
同じものが七瀬さんの弁当にも入っているのだから。
「なにこれ……」
「ま、不味いですか?」
「デパ地下の唐揚げより美味しいんですけど。これ作ったんですか?」
「冷凍食品は使わない主義ですので」
私と加藤さんがそんな会話をしていると、津田さんとジェイまでもが私の隣にやって来た。
「すごいな。これ全部手作りなんだ」
津田さんが感心したようにまじまじと弁当箱に詰められたおかずを眺めた。
「僕も味見したい。このサンドイッチと交換でどう?」
そう言ったのはジェイだった。
「構いませんが……だったら全部食べてもらっていいですよ」
「やった!」
「ちょっとジェイ、私も食べたい」
「俺も少しもらっていいかな」
結局、私の弁当は3人につつかれた。
「七瀬さん、莉緒のお弁当めっちゃ美味しいよ!」
ジェイがデスクで弁当を食べている七瀬さんに声を掛けたので思わず私も七瀬さんの方を見ると目が合ってしまった。
「……そうか。市川さんの将来の旦那さんは幸せだな」
優しい言葉に鼓動を高鳴らせていると、隣から「相手がいればの話ですけどね」と余計なひと言が浴びせられた。でも彼女は天邪鬼。
そう思えばもう腹も立たないのであった。
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