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私の自宅マンションは横浜にある。
以前は横浜支社だったので通勤は徒歩圏内だったが、本社は都内にある為電車通勤だ。
それでも30分ほどしか電車に乗らないので引越しは考えていなかった。
元よりこの仕事はクライアントのオフィスに常駐しての仕事や、国内外問わず出張も多い。
横浜で生まれ育った私はこの地から移動する気はなかった。
地元駅で電車を降りると、コンビニでミネラルウォーターとサラダを買った。
週に一度、作り置きおかずを作って冷凍しているから他のおかずは電子レンジで温めるだけだ。
不規則な時間に食事を摂ることが多いからせめて出来るだけ健康に良さそうなものを摂取するよう心がけている。
「…………」
もうすぐ自宅、という場所を歩いていると目の前にスーツ姿の男性が傘もささずに佇んでいるのが見えた。
モテなくても私は生物学上、一応女性だ。
得体の知れない人物を警戒しながら足早に通り過ぎようとしたところで、突然その男性が倒れた。
「えっ……」
咄嗟に抱きかかえたものの、身長差が20センチはあるだろうその人を支え続けるのは困難だった。
「ちょ……大丈夫ですか!?」
密着した肌は雨に濡れているというのにひどく熱かった。
「熱……!」
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