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掛け声をかけ、ベッドへ寝かせると冷却シートをリンパ腺の部分に貼り付け、買ってきたミネラルウォーターのペットボトルをベッドサイドのテーブルに置いた。
「……ふう……」
私の体は汗だか、濡れた男性に密着していたからか、しっとりと濡れていた。
「寒っ」
ぶるりと体が震え、このままでは私まで風邪をひいてしまうと慌てて浴室へ直行した。
私は寝つきが良い方ではない。
けれど、さすがに慣れない職場、初めての人命救助に体が悲鳴をあげていたのか、ソファに寝転がるとすぐに意識を手放した。
「……ん」
翌朝、スマホのアラームの音で目が覚めた。
薄目を開けると、その目に飛び込んできたものを認識して飛び起きた。
絶世の美男が私を真っ直ぐに見据えていたからだ。
「え……は……?」
言葉にならない言葉を出しながら頭の中を整理する。
確かに昨日の夜、瀕死の男性を助けた。
けれど顔は濡れた前髪でほとんど隠れていたし、何より暗くてよく見えていなかった。
まさか、こんなイケメンだったとは思いもしなかった。
「あんた、誰? ここどこ?」
イケメンは怪訝な表情でものすごい不機嫌な声で問いかけてきた。
まるで私が拉致でもしてきたかのような扱いだ。理不尽極まりない。
「お、覚えてませんか? 昨日このマンションの下で倒れたんですよ。ちなみにここは私の家です」
「そういえば体が怠いな」
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