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加藤さんはパックのお茶をストローで飲みながら続けた。
「七瀬さんと奥さんの由美さんは社内結婚なんですよ。ちなみに由美さんはここの受付嬢なんですけど」
「受付嬢……」
その情報だけで美人なのだと容易に想像出来る。
「私に負けず劣らずの面食いなんです。だから山崎さんの存在を無視できなかったんでしょうね」
「つまり、山崎葵さんの容姿は七瀬さんレベル、そういうことですか?」
「そういうこと。それで2人の関係がバレて七瀬さんが激怒して山崎さんを解雇しちゃったの。その代わりに来たのが市川さんなわけ」
なんて酷い話なのだ。
山崎葵、解雇されて当然だ。
それに七瀬さんの奥さんも同罪というか、今の話だと奥さんの方から山崎さんへアプローチをかけたという事が分かる。
七瀬さんだけでは飽き足らず、別のイケメンまで手にかけるとはなんて羨ましい――もとい、なんてけしからん。
「何故2人の関係が白日の元に?」
「それが大胆にも会社内でキスしてたみたいで、目撃した人が噂で流したらその日のうちに七瀬さんの耳に入っちゃって」
「……大胆不敵ですね」
キス。
自慢ではないが、幼い頃に両親からしかされたことがない行為だ。やはり、けしからん。
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