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「それがたった3日前の話なわけ。だから七瀬さんに山崎さんの名前を出すのはタブーってこと。わかった?」
こくこくと頷く私に加藤さんは「でも惜しい人を失くしたなあ」とボヤいた。
「加藤さんは七瀬さんだけでは飽き足らず、山崎さんにも好意を持っていたんですね」
「言い方が一々癇に触るけど……当たり前でしょ。女に生まれたからには最高の遺伝子を残すのが使命。山崎さんのことは残念だったけど、これで七瀬さんを落とすチャンスが訪れたのはラッキー」
確かに、それほど激怒していたのなら奥さんのこともそう簡単には許しそうもない。
最悪、離婚するかもしれない。
「あ、時間だ。化粧直ししてから戻ります」
「時間ですね。私も歯磨きをしてから戻ります」
午後は気を抜けば七瀬さんのことばかり考えてしまって仕事にならなかった。
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