1.イケメン拾いました

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 それから山崎さんは「まあ、あんたじゃ七瀬さんは無理。つか、女を感じない」と失礼極まりないことを真顔で言い放った。 「あなたね! それが命の恩人に言うセリフですか?」 「その件に関しては感謝してる。アリガトウ」 「……棒読みなのは気のせいでしょうか」 「気にするな。まあ上がれよ」 「あれれ。おかしいですね。ここは確か私の自宅では」 「気にするな」  なんという傍若無人。  同じイケメン属性でも七瀬さんとは雲泥の差だ。  今朝、一瞬でも胸をときめかせてしまったことを心の底から後悔した。 「言われなくても上がります」  私は靴を脱ぎ捨て彼の前に立った。 「どいてください。というか出て行ってください」  この廊下は人がすれ違うスペースはない。だが、山崎さんは動こうとしない。 「飯」 「はい?」 「美味かった」 「はあ。それはどうも」 「あんたには女を感じないから居心地がいい」  散々失礼なことを言われた気がするが。そして今まさに失礼なことを言われた気もするが。 「タダでとは言わない。仕事が決まるまでここに置いてくれ」 「断ると言ったはずですが。それにお金持ってないんですよね?」 「ああ無一文だ」 「堂々と言わないでくださいよ」 「おまえ、男を知らないだろ」  フリーズした。 「……だとしても、あなたにはなんの関係もないことです」     
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