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4日前。
私は勤め先でいつも通りに業務をこなしていた。
ここは大手外資系コンサルティング会社で、入社してまだ1年しか働いていない私にはまだまだ勉強することが多く、充実した毎日を送っていた。
「林さん、資料送っておきました」
「ああ、ありがとう。いつも仕事が早くて助かるよ」
林さんは私の上司で現在35歳なのだが、年齢よりも少し老けて見える。多分、毛髪が幾分少な目だからだろう。
「いえ。まだまだ若輩者ですので」
「本社にいる同期にも市川さんのことはよく話してるんだよ。うちのチームには優秀なアナリストがいるってね」
コンサルティング会社のプロジェクトチームにおける役職はざっと説明すると上位職から、パートナー、マネジャー、コンサルタント、アナリストで構成される。プロジェクトの軸になる作業はコンサルタントが行うが、アナリストの情報収集や分析が必要不可欠となる。つまり、下位職といえどアナリストの存在は大きい。
ちなみにコンサルティングとは、企業の経営上の問題点を明らかにし、解決する手助けをする仕事だ。簡潔に言えばクライアントをいかに儲けさせるか。これだけだ。
チームはプロジェクトによって各部署から最適な人材を集められ結成されるので、毎回メンバーは異なるのだが、入社して2年、私は林マネジャーと同じチームになることが多かった。
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