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2.メイクとピンクのフレアスカート
朝6時。
スマホのアラームで目覚めると、洗顔してから朝食を作る。
だし巻き卵にキャベツの味噌汁、それにこんがりと焼いた鮭。
いつも休日にまとめて作り置きをしているおかずを冷凍庫から出し、電子レンジで解凍する。
いつも通りの朝のルーティン。違うのはそれらが全て2人分ということだ。
「いいね、和食。俺の分もあるんだ」
ソファで寝ていた山崎さんがキッチンにやってきて私の背後から覗き見る。
「私の背後に立たないでください。それと、ついでですから。1人分作るのも2人分作るのも手間は変わりませんので」
昨夜。
私は彼の提案を受け入れてしまった。
一晩眠ってから改めて考えるととんでもない契約をしてしまったと思い、頭を抱えた。
「おまえは誰かに命を狙わているヒットマンか何かか。まあ、おまえの場合パーソナルスペースが極端に狭い故にこの距離に他人が入り込むと極度に緊張するんだろ。それと、その受け答えは0点だ。可愛くない」
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