2.メイクとピンクのフレアスカート

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 何度も何度も頭の中で七瀬さんの言葉がリフレインする。  個室へ入った途端、思い切り顔面が崩壊した。 「ふ……ふふふ……」  なんて心地がいいのだろう。  今まで勉強面で褒められることは多々あったが、容姿で褒められることなんて皆無だった。  こんな簡単に効果が得られるのなら、衣食住を提供することくらいなんてことない気がして来た。我ながら現金だ。  上機嫌で帰宅すると、山崎さんが「おかえり」とわざわざ玄関まで出迎えてくれた。 「ただいま戻りました」 「その顔は上手くいったか」  ドヤ顔でそう言われると若干腹立たしい。 「髪を下ろしただけで褒められるということは実は私は素材が良いということですね」 「寝言は寝てから言え」 「は?」  私の顔から笑顔が消えた。 「俺が言いたかったのは意外性だよ。出来上がったイメージから少しでも外れれば人は興味を示す。それだけのことだ。断じておまえの素材が良いとかそういうことじゃない」 「ひ、酷くないですか」 「まあ、悪いわけでもない。中の下だな、今のところ」  どんなリアクションを取れば正解なのだろう。と眉間にしわを寄せる。 「何面白い顔してんだ。疲れただろ。風呂沸かしといたから入れ。パックも買っておいたから上がったら使えよ」     
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