4.乙女よ、胃袋を掴め

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 特に気に入ったのはダイニングを挟んで各居室が配置されていることだ。これならお互いの部屋にいれば完全にプライバシーは守られる。 「気に入りました。契約します」 「本当ですか! ありがとうございます!」  早速、来週から入居出来るように手続きを行い、帰り道に夕飯の材料を買って帰宅した。 「なんかワクワクするな!」 「勝手にワクワクしないでください。ああ、そうだ。仕事が決まったら敷金礼金の半額いただきますよ」 「と言うことは決まらなかったら払わなくてもいい……」 「わけないです。ご実家まで頂きに伺いますよ」 「借金取りかよ」  そこでふと気がついた。 「そうですよ。ご実家はどこなんですか? 遠方なんですか?」  自分の息子の今の惨状をご両親は知っているのだろうか。 「実家は横須賀だけど」 「わりと近いじゃないですか。ご実家に戻られては?」 「いや、俺の両親めっちゃ厳しい人だから今の状況知ったら勘当されるな、うん、間違いない」 「…………」 「なんだそのハニワみたいな顔は。本当だよ。両親は2人とも教師でお堅いの」 「解せません。何故そのようなお2人からこのような息子が……」 「人は押え込まれると反発したくなるもんだろ。まあそういうことで俺が実家に頼ることはない。残念だったな」     
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