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ガラス細工の花が土に植わっている。
僕が不思議そうにずっと眺めているのが気になったのだろう、彼女は困り顔で笑う
「それガラスじゃないのよ」
彼女が言うにはこれは細工ではなく本物の花なのだという。きちんと枯れるし、種もなるのだと。
「家に来た人は大概不思議そうな顔をするし、よく言われるんだけどね。」
僕の知る限りではこんな花は見たことが無かった。かつて彼女の家を訪れた人もそうだったのだろう。
「少し分けてあげる。」
彼女はハサミで一株切り出すと柔らかく布に包んだものを僕に手渡した。
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