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「俺、無神論者だった。神に誓うって言っても信ぴょう性がないか。じゃあ」
九条の顔が間近に迫って来た。なにをされるかはすぐにわかった。律は反射的に顔を傾けて瞼を閉じた。
唇が触れあったあと、九条が照れたように――幸せそうに微笑んだ。
「愛の名のもとに誓うよ」
込み上げてくる衝動のままに、律は九条を抱きしめた。
「俺も誓うよ。ずっとずっと、暖だけだって」
もう一度ふたりは唇を触れ合わせ、同時に吐息で囁いた。
――愛の名のもとに。
了
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