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無慈悲にも二人が立ち上がると、浴槽のお湯が急激に減る。これはもう、私のへそを温めるのがやっとの水位だ。
「ちょっと待って!
パパが温まるまで一緒に入ってよ!」
なんとか本懐を為しえようと、私は必死に食い下がるも、下の子が無邪気に私を突き放す。
「お湯足ししなよ。パパ!」
「それだとな、ガス代と水道代が……」
私が大人の事情を口にしかけた時、
もうすぐ中学二年生となる上の子から
辛辣な一言が飛んでくる。
「自業自得でしょ。
もう少し痩せなよ。」
「うっ……。」
定期検診で肥満に引っかかったのを知る長男が
私の胸をえぐる。
わかっちゃいるが、大盛りゴハンがやめられない。
そうこうするうちに、二人は浴室を後にした。
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