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第9ピリオド
初夏のある日の夜。
2年ぶりに月曜夜の自主トレを再開することを告げるため、部活後の部室で、タカシはシンヤの着替えが終わるのを待っていた。
電話でもメールでもいいのかもしれないが、なんとなくケジメとして、自分の口で伝えたいと思ったのだ。
ほどなくシンヤも着替え終わり、帰り支度を始めたので、近寄って小声で声をかける。
「シンヤ、ちょっといいか?」
「どした?メシでも行くか?」
「いや、ちょっと話がある」
改まったタカシの雰囲気に何かを感じたシンヤは外に出ようと促す。
2人は部室を後にし、学生会館のラウンジに移動した。
部活も終わるこの時間だと、ラウンジの照明も半分落とされ、うす暗く閑散としている。
適当にベンチに座ると、タカシは単刀直入に切り出した。
「俺、秋の大会に向けて、来週の月曜から、また自主トレしようと思ってる」
言い切ったあと、長い沈黙が訪れる。
「…そっか。頑張れよ。
お前、その大会終わったら引退するんだろ?
今からやって間に合うかどうか…。
ギリギリだな」
「…おう」
以前のように自主トレを手伝って欲しいと思っていた訳ではないが、あまりのシンヤの素っ気なさにタカシはちょっと驚いた。
「話しはそれだけか?
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