第9ピリオド

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じゃ、メシでも行こうぜ。 リサとメシ食う約束無いんだったら、俺とメシ食い行こうぜ」 なんとなくはぐらかされた感じがしないでも無いが、タカシもそれ以上自主トレの話をするのも「手伝って欲しい」と暗に言っているみたいに取られそうなので、黙ってついて行くことにした。 それから数日後の月曜の夜。 一人でこっそり自主トレしようとタカシが第1体育館の玄関を入ると、中からバスケットボールの跳ねる音が聞こえた。 ボールの音は二つするので、先客が二人いることを意味する。 「ありゃ、他に誰か使ってるのか…」 自主トレしているところを、他の人に見られるのは、あんまり好きじゃない。 しかも、もし先客が後輩だとしたら… 後輩にコソコソしている情けない自分の姿を見られるのは、なんとなく嫌だった。 “自主トレ、来週からにしようかな…” とはいえ、ここまで来て帰るのもなんだか負けたような気がする。 12月から始まる就活を考えると、大半の三年生にとっては秋の大会が最後の大会になる。 タカシにとっても、この大会が終わったら、即引退だ。     
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