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シンヤのように公務員志望組の場合は採用試験直前の四年生の夏まで続ける者もいるし、強豪の女子部については、レギュラークラスだと就活の心配をする必要もない。3年のハルカもどうらやらその方向のようだ。
最後の大会にかけるタカシも、この大会のメンバーに入れなければ、一、二年生と一緒にBチームが参加する社会人リーグに回らなければならない。
リサに自分が試合に出ているところを見せるためには、リサと同じ大会に帯同できるこの大会へのメンバー入りが必須なのだ。
体育館のドアの前で逡巡していたタカシは、もう一度気合いを入れ直し、扉を開ける。
「遅っせえぞ!」
ドアを開けるなり、大きな声をかけられる。
そこにいたのはシンヤだった。
そして、シンヤの隣には、リサ。
リサもシンヤの口真似をして、「遅っせえぞ!」と言って笑う。
「なんだよ、お前ら…」
「『なんだよ』とは失礼だな」
「失礼だな!」
リサはシンヤの口真似しながら話すのが今日のマイブームらしい。
時々タカシも、リサのキャラがわからなくなる。
「扉開けて二人がいたら、そりゃビックリするだろ?
一人でこっそりやるつもりだったんだから」
「いや、シュート練習するのに、ディフェンス役でもう一人誰かいた方がいいかと思ってさ」
「思ってさ!」
「それで俺がリサに声かけた」
「かけられた!」
「なんかリサ、うぜー」
そう言ってタカシも笑う。
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