第9ピリオド

6/8
前へ
/66ページ
次へ
それ以来、不思議なメンバーでの自主トレが始まった。 部活のオフになるテスト期間も自主トレは続けられた。 とにかくシュートの精度を上げることに拘り、タカシは平日の部活の際も、空き時間を見つけてはシュートを打ち続けた。 できることはなんでもやった。 女バスのエース、リサの真似をして、アパートに帰ってからも、リサと一緒に、ボールに手首で回転をかけて、天井に向けて放り上げ、それをまた片手で受け止めるトレーニングを続けた。 ちゃんと手首でボールを“切れ”ないと、ボールはまっすぐ下に落ちてこない。 手首のコントロールに効果があると、リサは言う。本当かどうかは分からないが、エース様がそう言うなら、そうなのだろう。 とにかく信じてやり続けるしかない。 そして夏の合宿。 タカシにとっては一年生の夏以来の、全日程主力組、いわゆるAチームでの練習となった。 45人の部員を22人と23人の2組に分けて練習するのだが、今年は一度も『Bチーム』に行くことなく過ごした。 シンヤとの相性の良さが考慮された部分もあるのはタカシは理解している。 10月の大会の登録メンバーは17人。 22人からまだ5人も落ちるので、まだまだ全く油断できない。     
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加