第10ピリオド

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第10ピリオド

「では、秋の大会のメンバーを発表する」 円陣を組んだ選手達の視線の先にいるコーチの声が、静かな体育館に響く。 スタートを務めるレギュラーの5人から、ポジション順に発表されていく。 シンヤはポジション通り5番目に呼ばれた。 あとは名簿搭載順だ。 登録は全部で17人。 16人目までにタカシの名は無かった。 “あと一人…” 心の中でタカシは祈る。 三年生はまだ4人呼ばれていない。 “呼ばれなかったらどうしよう” そんなことばかり頭をよぎる。 17番目。最後の最後でタカシの名前がようやく呼ばれた。 久しぶりの登録メンバー。最後の最後で掴んだ。 嬉しくて思わず、周りが引く程の大きな声で返事をしてしまう。 そしてシンヤの方を見ると、無言で親指を立てて頷いている。 コートの向こう側で練習をしている女子バスケ部は、男子部のコーチが登録メンバーの発表をしている様子を遠巻きに見ていたが、最後の最後にタカシが大きな声で返事をした瞬間、女子の中でもどよめきが起きた。 リサとハルカを除いて。 メンバー発表の夜。今までの自主トレのお礼を兼ねて、タカシは3人を食事に誘った。     
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