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大学近くのバスケ部御用達のファミレスで食事をし、タカシの奢りで満腹になって店を出ると、シンヤが急に何かを思い出したかのように、リサに声をかけた。
「なあ、リサ、ちょっとお願いがあるんだけど」
「なんすか?」
「いやあ、今度ウチの母親の誕生日で、プレゼント買いたいんだけど、女の視点で適当に見繕ってくれないか」
「いいっすけど…これからっすか?」
「いいじゃん。な?タカシ、リサ借りるぞ。
あ、タカシ、もう暗いからルカをちゃんとアパートまで送ってやれよ」
そして、「じゃあな」と、強引にリサを連れて何処かに行ってしまった。
「勝手なやつだなあ」
そう言ってタカシがハルカを見ると、ハルカは俯いてしまった。
「帰ろっか」
ハルカの仕草にドキッとしたタカシが、歩こうと促す。
2人は並んで夜の歩道を歩きはじめた。
「今まで自主トレ手伝ってくれてありがとな」
「うん…」
「そういえば、あの時、食ってかかって悪かったな」
「うん…」
沈黙が怖いタカシは一方的に喋り続けるが、ハルカは何を聞いても「うん」しか言わない。
やがて話題も尽き、長い沈黙が訪れる。
黙って歩き続ける二人。
耐えられなくなったのはハルカの方が先だった。
「ごめん。ありがと。ここからだったら一人で大丈夫だから。リサが待ってるから早く帰って」
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