第10ピリオド

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早口でそう言って振り向きざまに走ろうとした瞬間、ハルカが歩道の敷石の段差につまづく。 タカシは、慌ててハルカの腕を引き、抱きとめる。強く引きすぎたせいで、タカシの胸にハルカが顔を埋める格好になった。 慌てたタカシがハルカを引き離そうとすると、ハルカはギュッとタカシにしがみつき、タカシの胸に顔を埋めたまま泣きそうな声で呟いた。 「もうちょっと、あと少しだけ、今だけでいいから、このままでいて… 自分のことは自分でケリつけるから。 だからあと少しだけ…」 その頃。 シンヤとリサは買い物にも行かず、タカシのアパートの前の歩道の柵に腰掛け、タカシを待っていた。 「シンさん、なんで芝居までして二人で行かせたの?」 「お前も分かってるくせに」 「なんのこと、かなあ」 「ルカは、ちゃんと失恋しなきゃいけねーんだよ」 「ええーっ、ルカさんは誰が好きな人がいるのっ?」 「お前、殴るよ」 「すいません…」 「で、どうする?今夜タカシが帰ってこなかったら」 「どーしましょうかねえ?」 「なんだかすげー自信ありげだな」 「モチのロンですよ。アタシ、タカシに愛されてますし、タカシを信じてますから」 そう言ってリサは笑った。 その自信に溢れた顔を見て、シンヤは思った。 “ルカは競争相手が悪かったよなぁ”
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