第10ピリオド

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数週間後、いよいよタカシにとって最後の大会が始まった。 この大会は、インカレ本戦に出場できなかったチームを集めた地区大会だ。 全国につながるわけではない。 それでも、多くの大学では三年生が一旦区切りをつける大会にもなっているので、各校気合は十分だ。 試合はトーナメント方式で行われる。 タカシのチームも一回戦は難なく勝ち上がった。 途中出場したタカシも、プレータイムは10分程度だったが、シンヤがパスを集めてくれたおかげもあり、4本のシュートを決めた。 翌日の二回戦は強豪チームとの対戦だった。過去数年、一度も勝ったことのない相手に、前半ハーフタイムまでに35対45と10点のリードを許す。 もっと差をつけられてもおかしくなかったが、シンヤの奮闘もあり、幸いそこまで差は広がっていない。 タカシは、今日はまだ出番はなく、ずっとベンチに座っていた。 ふとスタンド席にいるリサを見上げる。 リサはつまらなそうに頬を膨らませたまま、俯いていた。 “試合に出たい…” 昨日出場した時は、女子の試合とのタイミングが合わず、女子バスケ部は会場に来ていなかった。 第3クォーターが始まると、地力の勝る相手が徐々にリードを広げていく。     
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