第10ピリオド

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タカシと同じスモールフォワードで先発している2年生が今日はとにかく絶不調のようだ。 彼の打つシュートはことごとくリングに嫌われている。 まだ2点しか取っていない。 「カシっ!」 コーチの呼ぶ声が聞こえた。 慌てて立ち上がるとアップジャージのボタンを引っ張って外し、ユニフォーム姿になる。 「お前、3番に入れ。 行けるとこまで行けよ。 リバウンドも、ディフェンスも、お前にはちーっとも期待はしとらん。 だから、今日はシュート決めさえすれば、ワシは何も言わん。バンバンシュート決めてこい!」 そう言ってコーチは笑ってタカシの背中を叩いてコートに送り出した。 コートに立つ。 昨日とは違う緊迫感。 リサの方を見あげようとして、そんな雰囲気ではないことに気づく。 “とにかく集中” 俺に今求められてるのは、シュートを決めることだけ。 それだけに、今は集中しよう。 コートのメンバーに、コーチから授けられた指示を伝え、自らは得意の左45度の位置、スリーポイントラインのすぐ外に位置取る。 コートに立って早々に、高い位置でタカシにボールが入った。 ボールを持ってゴールを眺める。 “遠いなあ” 残念だが、この位置から一人でゴールまで切り込む能力はタカシにはない。 自分につくディフエンスを左腕と左腰で牽制しながらドリブルを始める。     
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