第10ピリオド

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ダムッダムッと、一定のリズムでボールをつきながら、落ち着いて、ポストアップしたシンヤとの距離を詰める。 シンヤが右手で相手を牽制しながら、左手を高く掲げるのを合図に、その長い腕の先を目がけてボールを入れる。 “多少高くても、ヤツは取れる” ずっと2人で練習して来たからこそわかるコンビネーションだ。 シンヤはボールを受けると、ドリブルをしながら背中越しにゴールを狙う。このまま誰もダブルチームに来なければ、ターンをしてフェイクを入れ、一人でシュートまで行く筈だ。 誰かがダブルチームに行けば… 俺のディフェンスが離れれば… タカシに付いたディフェンスが、シンヤにダブルチームに行き、タカシがフリーになった。 その瞬間。 ずっと狙っていた瞬間だ。 アイコンタクトが無くてもシンヤから正確なパスが飛んでくる。 “よしっ!” パスを受けた瞬間にシュートを打つ…はずだったが、緊張からかシュートモーションがワンテンポ遅れて、再び戻ってきたディフェンスの手がタカシの視界を妨げる。 外れた。 次こそ。 結局、その後三本続けて同じようなシュートを外してしまう。 「カシさん、何しに出てきたんだよ…」 スタンド席のリサの前にいる登録外の男子部員のボヤキがリサの耳に入った。 リサはいたたまれなくなる。 「カシさん、ファイトっ!」     
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