第10ピリオド

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シンヤからパスが来る。 神経が研ぎ澄まされたタカシには、そこから先は周りがスローモーションのように感じた。 相手の動きがゆっくりに見える。 そして、それを超越する自分のスピード。 “お前らには、俺は止められねえ” ボールがネットに沈む音を聞き、タカシから不敵な笑みが溢れた。 そこから怒涛の攻撃で、チームは最大15点のビハインドを追いつき、最終クウォーターも残り2分となった。 ここからはファウルゲームの神経戦だ。 リードする側は時計を進めようとするのに対して、リードされてる側は、時計を止めてボールを取り返そうと、ワザとファウルをする。 ファウルをすれば結果相手にフリースローを与えてしまうのだが、確実に時計は止まり、マイボールになる。 相手がフリースローを外せば儲けもんだ。 そこから一進一退の攻防が続く。 タカシはふと不安がよぎる。 こんな痺れる展開に、シュートしか能力のない自分が出ていてもいいのか…。 試合中の一瞬の邪念は、命取りだ。 タカシの集中が途切れた一瞬、タカシのパスミスを相手にカットされ、そのままゴールを決められ、再逆転を許す。 残り15秒で1点ビハインド。 時間的に次のシュートと決めないと負けが決まる。     
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