第5ピリオド

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第5ピリオド

初夏のある日。 講義と講義の合間の時間。 雨上がりの湿り気を帯びた熱気を避ける学生達で、学生会館のホールはごった返していた。 講義室自体は空調は効いているのだが、講義室にはなんとなくギリギリまで足を踏み入れたくない学生も多い。 それに、ここにいれば他学部の仲間たちに出会うこともできる。 タカシも、学部の同級生とともに、ホールのベンチで涼んでいた。 学内ではリサと一緒にいることを女子バスケ部に禁じられているが、ここにいれば、学部の違うリサにも偶然出会えるかもしれない。 話はできなくとも、顔が見られればいい。 それがここにいる一番の目的だったが、部活の忙しい身にとっては、他学部のバスケ部以外の友人達とも触れ合える数少ない場所でもある。 学部の友人と駄弁りながら、周りに誰か他の知り合いがいないかキョロキョロしていると、向こうの方から、会いたくない人物が自分に向かって歩いてくるのが見えた。 女子バスケ部副キャプテンのハルカだった。 「ねえ、ちょっと話があるんだけど」 「何だよ、俺はねえよ」 「いいから。ちょっと顔貸しなさいよ」     
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