第2ピリオド

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第2ピリオド

いい天気の誘惑にも負けずに出席した講義の終了後、いつものようにタカシは、学生会館の隣の部室棟に向かった。 講義中は半分くらい寝ていたはずなのにまだ眠い。 ホントは部活もサボりたいけど、これだけはなんとなく惰性で続けている。 部室棟の廊下を歩いていると、前からお揃いのトレーナー姿の女子バスケ部の集団が歩いてくるのが見えた。 その中に、リサがいた。 リサがいるということは、2年生のグループか。 「うっす」 「“カシ”さん、ちーっす」 「ちーっす」 誰もタカシと目も合わさず、口先だけの挨拶をする。 彼女らにしてみたら、タカシは、興味も関心もない、冴えないその他大勢の男子の先輩の一人なのだ。 タカシも特に気にすることもなくそのまま通り過ぎ、男子バスケ部の部室のドアを開け、中に入っていった。 「カシ」は、タカシのバスケ部でのコートネームだ。 バスケ部含めた団体競技は、男女問わずお互いを「コートネーム」で呼び合うことが多い。 試合中、先輩を敬称付きのフルネームで呼んでるヒマなどないので、この場合、大抵はコートネームで呼び捨てにしてもよいことになっている。     
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