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ここは寺島家。父と息子、そして魔女が住んでいた。
平日、父親は会社へ行き、息子の拓人は学校へ行った。
そして魔女は……。
「よぉーし、お風呂はーいろ♪」
寺島家に住み着く甘党魔女、ショココはお風呂場へ行くと湯船に魔法をかけた。
浮いてたゴミや汚れは全て消え、ぬるかったお湯は42度と適温になった。そして何故かほのかに甘い香りが漂う。
ショココは服を身につけたまま湯船に入る。
不思議なことにショココの服は、お湯に触れる寸前で消えていった。
「そぉーれ♪」
ショココは魔法で泡風呂に変えてしまった。
「もっともっとぉ♪」
泡はどんどん増えていき、ショココの姿が見えなくなった。
「あーらら、はしゃぎすぎたかしらん?」
ショココは慌てる様子もなく、再び魔法を使った。
泡が凝縮され、泡羊が創られる。
「めぇ~」
泡羊はゴム鞠の様に飛び跳ね、湯船に入った。
「ふふふっ♪」
ショココは泡羊を両手ではさみ、もふもふした。泡羊はだんだん小さくなり、そして消えた。
「また会いましょーね。それにしても大ババ様達ももったいないわねぇ」
ショココはそう言ってクルリと湯船の中で回った。
ショココの言う大ババ様とは、魔女の中でも一番偉い魔女の事だ。
「確かに魔法なら一瞬でミクロレベルのゴミすら消えてさっぱりするけど、どんな魔法よりも癒し効果バツグンなのよねぇ。お風呂って♪それをナンセンスなんて決めつけるんですもの、そっちの方がよっぽどナンセンスだわ」
ショココはそう言って湯船からふわりと浮き出ていく。
湯船から出てきたところから水気は消え、服が出現する。
「そうだ、今度は拓人と入ろうかしら?ちょうど失恋中だし、気分転換って大事よね」
ショココは同居人の顔を思い浮かべながら部屋へ戻った。
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