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庭にこだます悲鳴に、逃げ遅れた鳥が目を回し落下する。
あぁやってしまったと思いつつも、二人共作業の手は止めない。
「今日は十個だったか?」
「十二個じゃなかった?」
丁寧な刺繍を幾重にも施した色鮮やかな服と、その服とは対象的に真っ白なシンプルな布で頭を覆った黒髪の女が、屈めていた腰をゆっくりと伸ばしながら立ち上がると、同じく刺繍の入った服を着た隣の男に視線を向ける。
あと二個か、と溜息混じりに溢した男は、女同様に屈めていた腰を一度伸ばすと、勢い良く左右に腰を捻っている。
庭の端、庭といっても手入れもしていない自宅と裏の森と間の、日も満足に当らないような空きスペースの一角で、二人は土にまみれながら畑作業をしていた。
「あ、見て見てイヴァン、これ今日の一番じゃない?」
女は腰を捻っていた男、イヴァンの肩をぽんぽんと叩きそう言うと、首から下げていた耳栓を耳にはめ直し足元の草に手をかける。
慌ててイヴァンが耳栓をした直後、再び庭に悲鳴が響いた。
「ザミラ! 抜くなら俺が耳栓つけてからにしろよ!」
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